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サッカーについて,観戦録(国内外及びプロアマ問わず)を中心に,マイペースで書かせていただきます!

~エゴイズムの適量とは~ 【高校サッカー選手権大会準決勝 帝京長岡vs青森山田、静岡学園vs矢板中央】

帝京長岡(新潟) 1-2 青森山田(青森)

静岡学園(静岡) 1-0 矢板中央(栃木)

 

最初に断りをいれますが、今回は「エゴイズム」という言葉をネガティブな意味では使いません(笑)1試合目をメインにそれぞれの各試合の選手を1名ずつ取り上げて書いていきたいと思います。

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やってきました埼スタ!本日は準決勝2試合です

まず1試合目ですが、ゲーム内容としては90分通して、帝京長岡がボールを保持して巧みなパスワークで攻め、対して青森山田が素早いプレスでボールを奪って、相手の隙を狙いサイドから得点を伺うというものでした。恥ずかしながら帝京長岡の試合はあまり観たことはなかったのですが、アップの時点でパススピードが速い印象でした。

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帝京長岡イレブン

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青森山田イレブン

前半開始10分ほどは帝京長岡が連動した細かいパスワークで何度も決定機を生み出しました。青森山田は出鼻をくじかれたのかかなりあたふたしているように見えました。このまま帝京長岡が攻め続けると思われましたが、そこはやはり高円宮王者でした。右サイドの連携からサイドを崩して、その折り返しを9番田中(翔)がヘディングでゴール!この試合初といっていいくらいの決定機で、まさに試合巧者と言わんばかりの流れでした。

しかし、そこからは帝京長岡のギアがさらに入り、パスワークと個人技で何度も何度も青森山田ゴールに迫ります。特に右サイド7番田中(克)はミドルサードからアタッキングサード全てに顔を出して組み立て、仕掛けと攻撃の全てに質を提供していました。しかし、観戦されてた方はご存じだと思いますが、いかんせんシュートが枠に入りません。入っても青森山田のGKのセーブやDFによりゴールの外へ掻き出されます。そんな感じで前半終了しました。

 

後半に入っても流れは変わらないかと思われましたが、またしても青森山田の試合巧者というか、ほんとに憎いくらい素晴らしい時間帯に追加点を上げます。再び右サイドからの折り返しを1年生・7番松木がダイレクトシュートで見事な追加点です。後半開始早々に2-0としたことにより青森山田イレブンはいくらか冷静になり、帝京長岡に崩されつつも最後のところで確実にボールをはじき出していました。帝京長岡は引き続き7番田中(克)を中心に相手DFを揺さぶりにかかります。しかし、ゴールをこじ開けることは出来ません。ようやく後半終盤に7番田中(克)の中盤からの独走ドリブルで青森山田DF陣を1人で崩し切り追加点!個人技が光るゴールでした。しかし、追加点を上げることは出来ずにそのまま試合終了で青森山田が決勝戦へ進出しました。

 

試合を通してチームのパスワークで攻め続けていた帝京長岡の唯一の得点は、皮肉にもエゴイズムが前面に出されたドリブルによるゴールでした。ただ、個人的にはほんとに帝京長岡が魅せてくれたサッカーには驚かされたので、今後も注目していきたいと思います。

 

続きまして2試合目はかなり省略した内容になりますが、完全なハーフコートゲームでした。終始ボールを持ちセカンドボールを拾い攻め続ける静岡学園に対して、矢板中央は中央に人を固めてゴール前ではじき返して、数少ないカウンターを狙うというものでした。静岡学園帝京長岡のようにチームで連携するというよりは、圧倒的なエゴイズムを生かすサッカーを展開していました。圧倒的なエゴイズムとは言うまでもなく10番松村(鹿島内定)です。

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しかし、ひたすら粘り強い守備をする矢板中央に対して、松村の個人技でもなかなかゴールまでたどり着けません。ようやく後半ロスタイムにペナルティエリア内で仕掛けた松村が倒され獲得したPKを松村本人が決めて先制点!そしてそのまま試合終了で静岡学園が決勝戦へ進出しました。

 

さて、ここでタイトルの内容に触れていきますが、世間一般(会社等)では、エゴを出しすぎるのは『悪』という認識かと思われます。しかし、サッカーというスポーツにおいては時と場合によります。

1試合目を観てて感じたのは、帝京長岡7番田中(克)はあれほどの技術を持っていながら、なぜもう少し自分で仕掛けないのだろうと言うことでした。後半はとくにそうでしたが、青森山田も相手がパスで崩しきることにこだわっているのを読み切り、その最後の崩しのパスを常に狙っていました。だからこそ、ゴールギリギリで防ぎきっていました。パスが来ると分かっていれば、DFも守りやすいのは言うまでもないと思います。だからこそ、7番田中(克)のゴールの時は、青森山田もラストパスを警戒しすぎて、あそこまで簡単に突破を許してしまったのだと思います。(もちろん選手の技術あってこそです)


対して、静岡学園はチームとしての戦術がそうなのでしょうが、10番松村はあまりにもエゴイズムを出しすぎるプレーが多かったように思います。だからこそ、矢板中央もその突破を阻止することに全力を注げました。(それでも最後こじ開けた技術は素晴らしいです)


パスを出すからもしれないから、ドリブルが活きる!ドリブルをするかもしれないから、パスが活きる!ようは完全にSLAM DUNKの山王戦の流川ってことですね(ご存じない方申し訳ありません笑)


試合において、エゴイズムの適量を、自チーム及び相手チームの状況状態、時間帯等を考量して見定めていくことが大切なのかなと感じた2試合でした。直近の代表戦とかにおいても同様のことを感じます。

『One for all,All for one』という言葉で、日本という国は一人はみんなのためにというのは意識してますが、みんなは一人のためにという部分がないがしろにされている気がします。もっと、出せるところではエゴを出して良いのではないでしょうか?


PS 我が千葉県の高校においても、もう少しエゴを出せるようなサッカーを意識しても良いのかなと思いました。もちろん規律や約束事は大事ですが、それが創造することを妨げ、単発なサッカーになってしまっては元も子もないと思います。